Club-Z劇場
入社3年目 基板設計者 ミホの挑戦
【第2話】高速デジタル基板設計 ~製造部から基板仕様を聞き出せ!~
2009.05.28
安住 「いい質問をするじゃないか。たしかに誘電率や誘電正接は動作周波数や基板の吸湿状態の違いで数%程度ばらつく場合があるよ。まぁ、高周波回路でもないかぎりは気にするほどの事もないけどね。」
ミホ 「なるほど、覚えておきます。ありがとうございます!」
(設計部に戻ってきたミホ)
ミホ 「佐藤さ~っん、基板仕様を頂いてきました。」
佐藤 「よし、じゃぁ仕様データを基板CADに入力して特性インピーダンスを算出してみよう。」
・・・・・
ミホ 「算出されました!あれ?配線幅を太くすると値が小さくなりますね。それに算出するときにはグランド面が必要なんですか?」
佐藤 「うん、特性インピーダンスの算出には参照する導体が必要なんだ。一般的には給電層のグランド面を参照して計算が行なわれるんだ。特性インピーダンス値は、配線幅が広いと小さくなって、狭いと大きくなる、グランドと離れると大きくなって、グランドに近づくと小さくなる傾向があるんだ。」
ミホ 「少し難しいですね、つまり波形とはどのように関係するのですか?」
佐藤 「それは・・・」
コラム4【特性インピーダンスと波形】
ミホ 「ふむふむ、なるほど~。良く分かりました。あと、1つ疑問があるのですが・・」
佐藤 「何だい?」
ミホ 「製造部の安住さんは基板仕様は測定条件によってばらつきが出るとおっしゃっていました。デジタルICの電気特性にもばらつきはあるのでしょうか。IBISモデルはばらつきをどのように考慮しているのですか?」
佐藤 「デジタルICも色々な要因で特性にばらつきは出るみたいだよ。代表的な要因としては、『製造ばらつき』や『電源電圧によるばらつき』、『測定時の温度条件によるばらつき』があって、IBISモデルではそのばらつきを Typical値、Min値、Max値と3種類のモデル で表しているんだ。」
コラム5【IBISモデルのTyp / Min /Max】
ミホ 「なるほど。つまり3種類のシミュレーション結果が得られるのですね。大分わかってきました。これで作業に取りかかれそうです。ありがとうございます。」
ミホ (3種類の結果のうち弁天堂 鳴宮さんは、どの結果を希望しているのかしら。電話して聞いちゃおっと♪)
RuRuRu,,,
ミホ 「まごころエンジニアリングの吉田です。今回の SIシミュレーションで教えて欲しいことが一点ありまして、すこしお時間よろしいですか?」
鳴宮 「ええ、構いませんよ。どうぞ。」
ミホ 「お預かりしましたIBISモデルには、Typ、Min、Maxの3種類のモデルがあるんですけど、どれでシミュレーションすればよろしいですか?」
鳴宮 「そういえば説明してませんでしたね。すぐ気付くところは、さすがですね」
ミホ (いきなり褒められちゃった!)「あ、ありがとうございます!」
鳴宮 「Max値でお願いします」
ミホ 「理由も教えていただけると・・・」
鳴宮 「そうですね・・、前回の試作では長時間稼働中に誤動作したので、今回は熱にも強いICを選定しています。しかし、そこが心配なので。」
ミホ 「なるほど。そういうことですか。ではTyp、Maxのモデルで波形出力しますね。」
鳴宮 「よろしくお願いします。」
次回、第3話「SIに気をつけた正しい配置って?」につづく
●監修プロフィール
図研ハイスピード・ソリューションセンター
1998年度から設計現場に向けたノイズ低減や信号品質向上に関する技術支援を手がけてきました。
現在まで、250件近くのお客様にご採用いただき、問題解決に貢献しています。
< 図研のSI/EMCソリューション >
https://www.zuken.co.jp/si_emc/index.html