コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第29回】はじめが肝心
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2010.05.24
年度はじめのこの時期、計画についてじっくりと話をすることがこの1年の過ごし方を決める重要な意味を持つことは間違いありません。そして、誰もが計画や方針を共有する重要性はわかっています。にもかかわらず、なぜすれ違いやギャップの繰り返しから抜け出すことができないのでしょうか?
大きな原因のひとつは、必要な技術が身についていないからだと考えています。もちろん、そもそもの人間関係など、原因はいろいろと複合していることが多いとは思いますが、技術で解決できる余地は小さくありません。
今回はその技術を紹介したいと思います。面談するマネジャーやリーダーの立場で解説しますが、誰もが頭ではわかっているものの、面談するときには忘れてしまっているだけということも多いでしょう。これは、技術が身についていないということなので、思い出すきっかけになるはずです。試しに、面談の時を想像しながら読んでみてくださいね。
まず、面談の最初ですが、彼/彼女が個人としてどうなりたくて、何を大切にしているのかを聞き出すことを忘れてしまっていることが多いものです。一緒に仕事をしているのでわかっていると思うかもしれませんが、実は、きちんと話をしていないことも多いものです。また、一人ひとり様々な出来事が起きているはずで、考え方や感じ方も変わることも少なくありません。確認する良い機会です。
個人の価値観や目指しているもののことをパーソナル・アジェンダといったりします。組織やマネジャーの方針・計画が、一人ひとりのパーソナル・アジェンダに合っているかどうかという視点が抜けてしまうと、その人個人の利益に合うような提案やアドバイスができないことになります。そうすると、自分のことと思って話が聞けなくなる可能性が高くなりますよね。
パーソナル・アジェンダの視点を忘れなければ、年度はじめに行う個人の面談は、次のような集合の積(共通部分)を見つけることが大切なことがわかります。この共通部分のことを共有ゾーンといいます。この共有ゾーンを意識すること、これが最初の技術です。