コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第22回】品質の仕組みとは
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2009.05.28
計画の重要性は ISO 9001 でも「品質計画」として強調されています。品質計画とは、「品質目標を設定すること、並びにその品質目標を達成するために必要な運用プロセス及び関連する資源を規定することに焦点を合わせた品質マネジメントの一部のこと」と定義され、品質目標を設定し、その目標や規格の要求事項を満たせるようにシステムを構築するための計画と、実際にそのシステムの中で個別の製品を実現していくための計画を実施することが要求されています。
つまり、品質を確保するためには図63 に示すように、標準として品質計画として考慮すべき内容や方法が明確になっていて、それをもとに個別の製品の品質計画書が作成される仕組みが運用されていることが要求されています。
そして、個別製品の品質計画書には次のようなことが書かれます。
- 達成すべき品質目標
- 設計・開発の各段階における責任体制
- 採用する新技術、新設備、新プロセス
- 人員、必要なスキル
- 必要な検査・試験設備、検査方法
- その他要求品質確保のための手段
つまり、品質計画書は製品を作るための計画そのものということになります。品質は製品の属性や特性全体が顧客要求に合うことなのですから、その品質を実現するための品質計画が製品そのものを実現するための計画になるのは当たり前です。ただ、品質計画と呼ばずに開発計画書といっているところが多いと思います。品質計画と呼ぶにしても開発計画書と呼ぶにしても、個別の製品開発において、必要な手順および関連する資源が、誰によって、いつ適用されるかを明確にした計画書を作成することが重要であり、その計画書の中で、その製品で実現する属性や特性の一覧とその目標値(品質目標)が明確に記述されていることが必須です。
しかし現実には、その製品が実現すべき属性や特性を漏れなく記載し、それぞれについての目標値を明確にしている計画書に出会ったことはほとんどありません。そして問題なのは、市場不具合や開発遅延を起こしているのが、そもそも計画書に明確に記述していなかった属性(特性)やその目標値が原因であることが非常に多いということです。品質マネジメントにおける計画の重要性が強調されているにもかかわらず、多くの組織で正しく計画ができていないことは大きな問題だと思います。