コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第20回】隠れているプロジェクト全体の問題を見極める
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2009.03.26
システムサブグループでは問題だとは認識していないことは、実は別のグラフでも知ることができます。図59はシステムサブグループの 2009 年以降の週ごとの工数を表示したグラフです。このグラフでは3種類のデータを表示しています。一番左がスケジュールでその週で計画されている作業を実施するのに必要となる工数(計画工数)、中央がその週に予定している作業の成果(アウトプット)を工数換算したもの(成果進捗工数)、一番右がその週に実際に使った工数(実績工数)です。
図59を見ると、システムサブグループはスケジュール上では2月から大幅に作業が増える計画になっているのですが、2/9 週までは計画工数と成果進捗工数はほぼ同じ値になっていることから、スケジュール上は計画通りに作業が進んでいることがわかります。しかし、2月以降の実績工数はほとんど増えておらず、計画工数の 1/3 程度しか工数を使っていないのです。
つまり、システムサブグループは計画通りに作業は進んでいると認識(報告)しているのですが、実際に使っている時間は計画通りに増やせていないわけです。これは、システムサブグループが作業成果(アウトプット)に対して甘い評価をしている、もしくは、かなり余裕を持たせた計画になっており実際はもっと少ない工数の計画で良かった、のどちらかです。いずれにしても、計画もしくはその進捗把握に問題があるということです。メトリクスによってこのようなことも把握することが可能です。
以上、開発工数メトリクスを使うだけでもかなりつっこんだプロジェクト進捗分析ができることがわかっていただけたと思います。また、タスク、作業成果物、不具合・課題という各々のメトリクスを使ってもかなり詳細な進捗分析が可能なことはこれまで解説したとおりですし、これら基本メトリクスセットのメトリクスを組み合わせることで、プロジェクトの進捗を多面的、総合的に判断できることをわかっていただけたと思います。
さて、今回で基本メトリクスセットの解説は終わりにしたいと思います。次回からは別の話題にしたいと考えていますが、ご質問やご意見、リクエストなどあればご連絡ください。