Club-Zコラム第20回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第20回】隠れているプロジェクト全体の問題を見極める

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.03.26

では、システム設計は誰が行っているのでしょうか? 図58はアクティビティ軸からシステム設計だけを抽出し、サブグループごとの工数推移のグラフにしたものです。このグラフを見ると、システム設計に工数を割いているのは無線サブグループ(RF)であることがわかります。

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システムサブグループの代わりに無線サブグループが製品全体のシステム設計を実施しているのであれば問題ないかもしれないのですが、現実は、無線ブロックは独立したブロックであり無線の範囲だけで方式設計をやっているのがここでのシステム設計の中身でした。製品全体のシステム設計はシステムサブグループの仕事であり、他の誰もやることはできないのです。

このように詳細に開発工数メトリクスのグラフを見てみると、本当にまずい状況であることわかってきました。しかし、システムサブグループや無線サブグループなどの個々のサブグループは、自分たちの目に前にある問題を解決することに一生懸命なわけですから、大きな遅れはないと判断することもありますし、大きな問題ととらえていないので進捗報告にもとりあげていないこともあります。個別には一生懸命であってもプロジェクト全体で見たときには問題をはらんでいる状況は珍しくはありません。そしてこれは、プロジェクト責任者が把握し対応を指示しなければ解決できない問題です。この例の場合、システムサブグループが本来やるべきシステム設計に工数を割けるように規格認定試験の対応方法を見直すことと、対外的な業務の担当や進め方を見直すことが急務です。

プロジェクト責任者は常にメンバーとのコミュニケーションを密にして、サブグループやそのメンバーの状況を把握しておくことでこのような状況を把握することはできますが、そのために進捗会議や報告の時間が長くなってしまうのでは開発効率が下がってしまい本末転倒です。また、様々な意見や報告があったときに客観的な基準がなければ、どの声が正しいのかという判断を誤ってしまうこともなりかねません。基本メトリクスセットの各メトリクスはこのような状況を避けるための道具なのです。