Club-Zコラム第19回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第19回】工数で技術者の振る舞いを知り、プロジェクトを知る

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2009.02.26

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPGbook2.JPG


進捗管理のための基本メトリクスセットについての解説を続けています。基本メトリクスセットの目的は、プロジェクトに対するインプットとアウトプットを計測することによりプロジェクトの状況(進捗)を把握することで、それをできるだけ少ないメトリクスで実現しています。前回まではプロジェクトのアウトプットであるメトリクスについてでしたが、今回はインプットである開発工数メトリクスについて解説します。

製品開発プロジェクトのインプット(リソースという言い方もできます)にはいろいろなものがありますが、その中でも、ヒト、すなわち、プロジェクトメンバーが最も重要なインプット(リソース)であることは間違いないと思います。開発工数メトリクスとは、この最重要リソースであるプロジェクトメンバーがどのようなことに時間を使っているのかを計測することにより、メンバーの振る舞いを「見える化」するためのものです。

開発工数メトリクスも、基本メトリクスセットの他のメトリクス同様、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸の2軸で値を特定できるように収集します。を付加すること就業時間管理のために何らかの工数収集をやっているところも多いと思いますが、この既存の仕組みにプロジェクト構造軸とアクティビティ軸の情報ができれば、比較的簡単に工数収集の仕組みを整えることができます。

また、Excel を使って工数収集する仕組みを運用している組織もよく見かけます。専用ツールを開発して運用しているところも少なくありません。このように、何らかの形で工数収集ツールを運用しているところは多いのですが、ほとんどの組織で共通の課題を抱えています。それは、入力が継続しないことや、入力率が上がらないという課題です。これは、ツールの使い勝手が悪いことが原因であることも多いのですが、入力したデータを活用できていないためにメンバーが入力する意味を感じなくなるということも主な原因となっています。今回は、このような課題を避けるためにも、工数メトリクスでどのようなことがわかるのかを実例を使いながら解説したいと思います。