コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第18回】作業要素の進捗分析で過去も未来も見える
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2009.01.29
図53 はある通信関連の製品開発プロジェクトでの作業要素メトリクスをグラフ化したものです。ここで示しているのはプロジェクト全体ではなく、通信のデジタル処理を行っている WBS で、この単位でも大きな開発作業になっています。横軸は週で、棒グラフは週ごとの作業要素(タスク)の数を示しており、図53 では 2008/12/15 の現時点で、作業完了しているもの(完了)、遅れているもの(遅れている)、まだ開始予定になっていないもの(今後のタスク)に分けて色分けしています。
このグラフを見ると次のようなことがわかります。
- 2008年11月,12月が開発作業のピークで、2009年以降は徐々に作業が減っていく
- 現時点(2008/12/15 週)では 作業することになっている開発要素の 90% 以上に遅れを生じている
- 遅れを生じている開発要素には1ヶ月以上前の 2008/11/3 に開始しているものもあり、この時点から遅れている開発要素は徐々に増えている
- 遅れを生じている開発要素は1ヶ月先の 2009/1/12 まで作業が続くものがあり、現在の遅れは1ヶ月先の予定にまで影響がある
イナズマ線などを使った場合と違い、単純に遅れている作業を特定するだけではなく、現在の進捗と今後の予定に関して多くのことを把握できることがわかると思います。
さて、今回は開発要素メトリクスについて解説しました。開発要素のもとになっていることは、基本的に開発スケジュールとして記述している内容ですが、基本メトリクスセットのひとつとして運用方法を整備することで、開発作業全体の規模と現在の遅れ作業の規模を把握できるだけでなく、遅れを生じている開発作業がどのくらい前からのものなのか、また、遅れはこれから先いつまで影響するのか、ということもその規模と合わせて把握できることをわかっていただけたのではないかと思います。
次回は、基本メトリクスセットの工数について開設する予定です。引き続きおつきあいください。