Club-Zコラム第17回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第17回】ソフト作業成果物による進捗管理は相互の関連づけでパワーアップ!

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2008.12.18

作業成果物メトリクスは、作業成果物を測定することにより作業量から見た進捗を把握するためのものですが、その活用方法について紹介しておきたいことがあります。もう一度、図48LinkIconをご覧ください。図に開発工程の作業成果物メトリクス間の関係式を記載しています。この関係式は、基準モデルと同じように、自組織でのプロジェクトの実績値を分析して作ったもので、図に記載している関係式はある組織でのものです。

このような関係式を作ると、作業成果物メトリクスを使って進捗管理をするだけでなく、その進捗情報を使って作業見積もりをすることが可能となります。

たとえば基本設計工程では、計画していた総プロセス数に対して、実際に設計ができたプロセス数をカウントすることで作業進捗を判断するわけですが、この関係式を使えば、設計ができたプロセス数から詳細設計工程におけるファンクション数を見積もることができます。同様に、見積もったファンクション数からコーディング工程におけるプログラム・ステップ数を見積もり、さらにはテスト工程におけるテスト項目数も見積もることができます。

図48LinkIcon で説明すると、設計できたプロセス数が 10 であればファンクション数は 53 と見積もることができ、さらに、プログラム・ステップ数の見積もりは 1,855 となり、テスト項目数の見積もりは 222 となります。図48LinkIconには書いていませんが、それぞれの作業成果物メトリクスと工数との関係式も明確になっているはずですから、各工程での工数も見積もることができます。

このように、作業成果物メトリクス間の関係式を使えば、開発工程における作業が進むにつれ、そして、開発工程が進むにつれ、それ以降の作業量や必要工数の見積もり精度を上げることができます。開発初期に見積もったプログラム・ステップ数や工数を最終ゴールとし、その変わらないゴールと実績と比較することで進捗とするのではなく、継続的に見積もりを見直すことにより段階的にその精度を上げることができるのです。

この関係式を作ればそれが基準モデルになっているのですが、作業成果物メトリクスについても基準モデルを作ることを忘れないでください。プログラム・ステップ数であれば、コーディング工程の作業成果物メトリクスですから、単位時間当たりのプログラム行数というコーディングのパフォーマンスとなる基準モデルをつくることができるはずです。ただ、繰り返しになりますが、単位工数あたりのプログラム・ステップ数というのは他社データが手に入れやすいこともあり、そのまま自分のところの基準としてしまうことがありがちですが、あくまでも自分の組織でのベストプラクティス(成功事例)を基準とすることを忘れないようにしてください。自分たちの現状の延長上にあるゴール(基準)であることが大切なのです。