Club-Zコラム第9回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス

【第9回】登山ルートの作成は仕組み構築の設計作業

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造


2008.04.17

執筆者プロフィール
九州大学卒業後、日本HP入社(入社当時はYHP)。電子計測器、半導体計 測システムの研究・開発に従事した後、社内の開発製造革新プロジェクトで、 電気・電子設計およびソフトウェア開発のための統合システムを企画,開発。
この間に、日本HPにおけるソフトウェア・プロダクティビティ・マネジャー を兼務。日本HPの会社分割によりアジレント・テクノロジーに移籍した後、 この経験をもとに社外に対してコンサルティングを実施。その後、株式会社 RDPi を設立。 これまでに、家電、通信、電子機器、自動車業界に数十社の実績を持つ。ビジネスコンサル系とは一味違った開発現場やツールにも精通するコンサルタント。
著書(共著)に「デザイン プロセス イノベーション」「ザ・チェンジ」(どちらも日経BP)。また「日経ものづくり」での連載や「ソフトウェア開発環境展」専門セミナーなどのセミナーも多数実施している。

●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●株式会社 RDPi : http://www.rdpi.jp/
●著書 : book1.JPG    book2.JPG

前回は、現状分析をもとに課題を整理し、その原因を分析することを通じて、現状課題が設計部門が置かれている現在地点を明らかにすることであり、その原因分析が目標を達成するために必要となる対策方針を明らかにすることで、登山マップとコンパスに相当するものだということをお伝えしました。

システム化を伴う場合もそうでない場合も、設計部門における仕組み構築は、一本道をまっすぐに進むことで実現できるのではなく頂上を目指す山登りであり、どの登山ルートを取るのかが重要であることをお伝えしていますが、今回はその登山ルートを決めるところまで解説したいと思います。

繰り返しになりますが、事例としてあげている設計部門では、現状の課題を次のように整理できています。

  1. 繰り返し実施する試作が同時作業となっており、設計の時期に直前の試作の評価を並行して実施している
  2. 開発試作は4ヶ月間程度のかなり工数を使う作業であるが、試作(開発試作)製作や顧客対応など、設計部門が様々な作業を請け負っているため負担が大きい
  3. 2Sという試作期間にもっとも多くの工数がかかっており、設計作業、評価作業ともに最大の工数が必要になっている(工数手当て・調整は容易ではない)
  4. 開発期間を通じて、設計作業、試作関連作業、評価作業が同時に実際されており、開発の状況把握やマネジメントは容易ではない


前回、「(a) 繰り返し実施する試作が同時作業となっており、設計の時期に直前の試作の評価を並行して実施している」について根本原因分析を行い、次のことが本質的な問題であることがわかりました。

  1. 設計完成度を確認する仕組みがない
  2. 改善活動をマネジメントするチーム(組織機能)がない
  3. 評価項目や評価条件を再利用する仕組みがない


あるツールベンダーが「試作が予定通り完了しないから進捗管理を徹底しましょう」「そのためには、進捗管理機能が充実している○○システムを導入しましょう」という提案をしたとしても、このような単純で一本道の仕組み構築の考え方では現状の問題は解決しないこと、そして、現状の問題を解決できなければ開発効率2倍というゴールも達成できないことがわかると思います。

それでは、現状課題 (b) (c) (d) についても根本原因分析を行い、登山マップを完成させましょう。