コラム
グローバル化は設計・製造の仕組みを見直すチャンス
【第8回】現状課題とその原因分析は目標達成のための登山マップとコンパス
株式会社RDPi 代表取締役 石橋 良造
2008.03.27
以上の分析により、「(a) 繰り返し実施する試作が同時作業となっており、設計の時期に直前の試作の評価を並行して実施している」という課題を引き起こしている原因が、次のように整理できることがわかりました。
- 設計完成度を確認する仕組みがない
- 改善活動をマネジメントするチーム(組織機能)がない
- 評価項目や評価条件を再利用する仕組みがない
これらの原因を解消することができれば、設計作業を予定通りに完了させることができ、評価やその次の試作の設計を並行して実施することがなくなると考えることができます。そして、これは開発効率2倍という目標達成のための有効な方策となるはずです。また、この段階でこれら一つひとつに対して対策を考えたり、ツールやシステムを調査・検討するためにメーカーやベンダーの話を聞くことになります。
以上、課題 (a) について原因分析をしましたが、(b) (c) (d) の課題についても同じように原因分析を行い、その解決のための対策を検討します。これができると、目標達成のために取り組むべき一連の対策が明らかになります。また、その対策を実施することで何がどうかわるのかも明確になります。頂上までの登山ルート(対策の実施順序など)はまだ明確にはなっていないものの、一連の対策という登山マップと、対策実施の効果というコンパスを手に入れたということです。
この段階で、各種のツールやシステム、手法や技法を調査・検討しますが、これらはある意味、万能です。いくつもの機能を持ち、多様な要求に応えることができるようになっています。そのため、機能を比較してどれだけ万能なのかを評価したり、他社の活用事例を収集したりしがちなのですが、自分の設計部門で効果を出すことができるかどうかは、課題の原因を解消できる使い方ができるかどうかにかかっています。つまり、効率的、効果的に自分の設計部門用に用意した登山マップとコンパスにあわせた使い方ができるかどうかが重要なのです。
少々長くなってしまいましたので、今回はここまでにしたいと思います。次回は、開発効率2倍のゴールを達成するための登山ルートを具体化するまでのステップを解説したいと思います。
それでは、また次回もおつきあいください。