Club-Zコラム第36回

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


同時にやるシクミづくりとヒトづくり。
やっと気づいた改革の本質

【第36回】必要最小限の手間で効率的な実践的進捗管理(1)

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造

2014.05.22


工数メトリクスの例

ここで、基本メトリクスセットのひとつである工数メトリクスを例にとって、どのようにして進捗を把握するのかを紹介したいと思います。

進捗を表現する際に重要なことはわかりやすさです。プロジェクトに直接関係していないマネジャーやシニアマネジャーでも簡単に進捗がわかる表現にすることが大切です。プロジェクト内では解決できないような重大な問題が起きたときには、関連部門のキーパーソンに協力を仰ぐことになるはずですし、シニアマネジャーに働きかけることにもなるはずです。このようなときには、プロジェクトの進捗を素早く適切に把握してもらうことが大切になります。長々と説明したり、報告書を書いたりする時間的余裕はないはずですから。

まず最初にご紹介するのは「アクティビティ・センター」とよんでいるグラフです。縦軸に開発工程(作業工程)、横軸に時間(図では1週間単位)をとり、その週に一番工数を使った作業工程(作業の重心)をプロットして、それを結んで折れ線グラフにしたものです。プロットしている点の上下の線は、その週の開発工程上の作業の広がり(標準偏差)をあらわしています。これにより、時間経過にしたがった作業の進み具合とそのときの作業のバラツキが簡単に分かります。

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縦軸の上に行けば行くほど作業が進んでいることを示しているので、時間経過とともに作業がどれくらいのペースで進んでいるのか、先週に較べて進んでいるのか、あとどれくらいで終了しそうか、などをつかむことができます。下がれば手戻りが発生していると考えられますし、上下の線が設計から評価にまで伸びていれば作業のばらつきが大きくて単純には進捗を判断できない状況だと考えられます。

また、このグラフはプロジェクト全体のものなのですが、2軸管理のプロダクト軸のデータを使えば、あるブロックAの部分だけ、ブロックBの部分だけといった特定の部分についても同じようにして進捗を見ることができます。


もっとたくさんの例を紹介したいのですが、長くなりましたので次回以降に紹介したいと思います。また、3つの技法のうちの最後のひとつ、基準モデルについても次の機会に詳細を解説したいと思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

speaker.jpg●執筆者プロフィール  石橋 良造
日本ヒューレット・パッカード (HP) に入社し、R&D 部門で半導体計測システムの開発に従事した後、開発プロセス改革プロジェクトに参加。ここで、HP 全社を巻き込んだ PLM システムの開発や、石川賞を受賞した製品開発の仕組み作りを行い、その経験をもとに 80 社以上に対して開発プロセス革新やプロジェクト管理のコンサルティングを実施。独立して株式会社 RDPi を設立した後は、より良い改革のためには個人の意識改革も必要、と、北京オリンピックで石井慧を金メダルに導いたピークパフォーマンスのコーチ養成コースを修了し、個人のやる気やモチベーションを引き出す技術の開発と、開発プロセスやプロジェクト管理の仕組み改革との融合を続けています。
●株式会社 RDPi :http://www.rdpi.jp/
●メトリクス管理ウェブ : http://www.metrics.jp/
●Email :  ishibashi@rdpi.jp
●ブログ : http://ameblo.jp/iryozo/entrylist.html
●facebook : やる気の技術   仕組みと意識を変える RDPi

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