Club-Zコラム第2回

印刷用表示 | テキストサイズ 小 | 中 | 大 |


clubZ_info_renewal.jpg

| HOME | コラム | シクミづくりとヒトづくり | 第2回 | P2 |

更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03

コラム


同時にやるシクミづくりとヒトづくり。
やっと気づいた改革の本質

【第2回】ビジョンは夢、それとも理念?

株式会社RDPi  代表取締役 石橋 良造

2010.09.30

■ビジョンの作り方、引き出し方

ビジョンは、多くは個人の内的体験から生まれます。何かのきっかけで、あるいは何かに触れることで、湧き上がる感情、感覚が自分の中に生まれ、それが自分の内でイメージとして膨らむ。そして、そのイメージは自分の頭の中で現実となり、これを外の世界で実現させたいという衝動に駆られる。事業などの形で具現化したくてたまらなくなるのです。

夢をありありと語れるようにしたもの、夢を現実化できるレベルに具体化したものがビジョンと言ってもいいでしょう。しかし、夢が持てない、夢を現実にできないという悩みを持った人が多いといわれています。ビジョンを持てない人、ビジョンで動けていない人たちが世の中には少なからずいるということですね。

忘れないでください。誰もがそれぞれにいろいろな体験をし、その体験でいろいろな思いを抱き、その時のいろいろな感情・感覚はその都度、身体知としてカラダに刻み込まれているのです。ビジョンの芽となる内的体験は誰もが持っているのです。

それなのに、どうしてビジョンを持っていない人がいるのでしょうか。それは、夢やビジョンの引き出し方がわからないからです。内的体験をビジョンにする方法がわからないからです。以下にその方法を紹介しますので、あなたが自分のビジョンは何だろうと思うときは、少しだけ時間を作ってやってみてください。

それでははじめます。

ポイントは誰もが持っている内的体験に注目することです。内的体験がその人の価値観を作っており、価値観が「自分らしさ」を作り、ビジョンは自分らしさの延長線上にあります。ただ、自分のことでありながら、自分らしさを把握することは難しいものなので、次のような手順を踏むのが有効です。

まず、自分が好きなもの、好きな人、好きな場所、好きな季節、好きな瞬間などをきっかけにして、自分が「いいなぁ」「よかったなぁ」「楽しかったなぁ」と感じる過去の出来事を思い出します。こういう自分の好きなことが「自分らしさ」につながっているのです。

こういう出来事をできるだけたくさん思い出してください。そして、その一つひとつの出来事について、とくに気になる場面を、さらに具体的に思い出します。その時見えていたもの、聞こえていたもの、感じていたこと、考えていたこと、これらを一つひとつ頭の中に再現します。これがステップ1です。

次に、それらの出来事の何がよかったのか、どういう思いがよかったのか、そのエッセンスを探ります。じっくりとその場面に浸って自分に問いかけます。「これの何がいいんだろう? どういうところがいいんだろう?」と。自分をその場面に時と場所を移して、ゆっくり、しっかり問いかけます。

答えは見つかりましたか? この答えが、自分が好きなことのエッセンス、つまり「自分らしさ」です。このエッセンスは人によって違います。たとえば、楽しかった思い出が子どものときの誕生会だったとしても、ある人にとっては友だちみんなと一緒だったことがよかったかもしれませんが、別の人はプレゼントをもらうのがよかったと思うかもしれません。また別の人にとっては、家族の笑顔がうれしかったかもしれません。同じ出来事であっても、何がいいのかというエッセンスは人によってバラバラなのです。もちろん、人と違っててもまったく気にすることはありませんよ。ここまでがステップ2です。

column_20100930_2.JPG


そして最後は、そのエッセンスが活かされている現在や未来の出来事を考えるというステップです。現在の経験できていることで、すでにそのエッセンスが活きていることがあれば、ラッキーですね。その延長でさらに自分らしい未来の出来事を考えてみてください。現在の出来事にはないという場合は、そのエッセンスからなる未来の出来事を想像します。未来の出来事ですから、今と何の関係もなくていいですよ。突拍子もないことが思い浮かぶかもしれませんが、気にすることはありません。自由に「夢想」してください。

たとえば、エッセンスがみんなと一緒だったのが楽しかったというのであれば、未来の自分は、どんな場所で、どんな人たちと一緒にいて、何をしているのか、その時みんなはどんな顔をしているのか。家族の笑顔がうれしかったというエッセンスであれば、未来の自分の周りにはどんな家族がいて、どんなことをしてて、家族の一人ひとりはどんな風に自分と接しているのか。こんな風に、先ほど見つけたエッセンスを思いながら、未来の場面をありありとイメージします。

これを繰り返すことで未来の出来事が増えていき、イメージが広がり固まっていきます。これがビジョンとなっていきます。ただ、残念ながら文章ではわかりづらいし、自分ひとりで引き出すのはむずかしいかもしれません。でも、やってみてください。ステップ2の自分らしさの発見まででも、といろいろと気づきがあるはずです。


以上、今回はビジョンの解説とその引き出し方についての話でしたが、いかがだったでしょうか? 感想などぜひご連絡ください。質問などはメールいただければアドバイスできることもあると思います。また、体験型セミナーを開いたり、マンツーマンでこのステップを支援したり、いろいろなサポートすることも可能です。お気軽にご連絡ください。
では、次回もお楽しみに。

column_20100930_3.JPG●執筆者プロフィール  石橋 良造
日本ヒューレット・パッカード (HP) に入社し、R&D 部門で半導体計測システムの開発に従事した後、開発プロセス改革プロジェクトに参加。ここで、HP 全社を巻き込んだ PLM システムの開発や、石川賞を受賞した製品開発の仕組み作りを行い、その経験をもとに 80 社以上に対して開発プロセス革新やプロジェクト管理のコンサルティングを実施。独立して株式会社 RDPi を設立した後は、より良い改革のためには個人の意識改革も必要、と、北京オリンピックで石井慧を金メダルに導いたピークパフォーマンスのコーチ養成コースを修了し、個人のやる気やモチベーションを引き出す技術の開発と、開発プロセスやプロジェクト管理の仕組み改革との融合を続けています。

【今回の記事はいかがでしたか?】

大変参考になった
参考になった
あまり参考にならなかった
参考にならなかった

今回の記事について詳細なご説明をご希望の方は、Club-Z編集局(clubZ_info@zuken.co.jp)までご連絡下さい。