EMC測定の基礎:EMC評価方法(イミュニティ2、その他)

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更新日 2016-01-20 | 作成日 2007-12-03


☑EMC測定の基礎

5.EMC評価方法(イミュニティ2、その他)

マイクロウェーブファクトリー株式会社

2012.12.20

みなさん、こんにちは。早いものでもう12月に入ってしまいましたね。8月より連載させていただいている本稿もいよいよ5回目になりますが、いつもお読みいただきましてありがとうございます。今回もまた軽く読み流していただければと思います。

前回よりEMS(イミュニティ)試験について書かせていただいておりますが、今回はその2回目、【IEC 61000-4-3 放射無線周波電磁界イミュニティ試験(以下放射イミュニティ試験とします)】についてです。何やら難しい言葉が並んでいますが、つまりは電気・電子機器(製品)が周囲を飛び交っている電波によって誤動作を起こさない確認をするための試験です。思い出してください。第1回目②や⑤、⑥などは電波の仕業による誤動作の一例だったのですが、使っている製品が突然思いも寄らない動きをしたらビックリしますよね。驚く位ならまだしも場合によっては大きな怪我につながる事だってあります。このような危険につながるようなことを未然に防止するためにとても重要な試験のひとつになります。

それではこの放射イミュニティ試験はどのように行われるのでしょうか。

前々回(第3回)でご説明しました、放射エミッションのことを思い出してみてください。このときは、電波暗室という試験室の中で製品を動作させ、その製品が出すノイズをアンテナで受けてその強さで評価しました。放射イミュニティ試験はこのちょうどその「逆」になります。

放射エミッションは、

  • 製品がノイズ放射→空間を伝わって→アンテナで受ける→測定器で評価

放射イミュニティは、

  • 試験機でノイズ発生→アンテナで放つ→空間を伝わって→製品がノイズ受ける



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このような方法で、規格で決められた周波数の範囲を少しずつ周波数を変えながら、電波を照射して行きます。無線通信は、現代社会では無くてはならない存在ですよね。皆さんお馴染みの携帯電話やスマホ、無線LANやテレビ、ラジオの放送など多岐に渡り、色々な周波数が使われています。その分、広い帯域に渡って試験をする必要が出てくるわけです。


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規格で要求される範囲は、80MHzから1000MHzですが、製品によっては2500MHzや、6000MHzまで要求されることがあります。また、80MHz以下の周波数についてはこの後に出てくるIEC 61000-4-6の要求に従うことになります。

電波の強さ(この規格では電界強度で示されます)も製品や用途によって決められています。例えば住宅地域などで使われる製品などは3V/m、(V/mは電波の強さを表すもののひとつ電界強度の単位です)また工場の中など大きなノイズが発生するような環境で使われる製品に対しては10V/mなどと、より強い電波を照射して試験されます。
また、自動車については色々な場所へ移動する手段として使われますので、例えば放送局の送信所近くを走ったり、レーダーの強い電波が当たるかも知れないような場所にも行く可能性があることから、200V/mなどと、とても強い電波で試験しなければならない要求もあります。

実際の試験は周波数を少しずつ変えながら試験するので、数十分。これを製品の全面、背面、左右側面の4面(場合によっては上面と底面を加えた6面)に対して繰り返しますので、とても時間のかかる試験なのです。この間、試験をしている製品がきちんとした動作を続けているか、ずっと見ていなければなりません。そのため、最近では誤動作の状態や条件をあらかじめセットし、試験中は計測器やカメラが人の代わりに監視しながら試験を進める自動化が増えつつあります。EMC試験って結構地味ですが、大変な試験ですね。

さて、次回は年明けになりますが、IEC 61000-4-4の試験内容について書きましょう。
それでは皆さん、良い新年をお迎えください。




●マイクロウェーブファクトリー株式会社プロフィール
「We support your power」を合言葉に、電波に関する先端技術開発に携わるエンジニアの方を全面的にサポートし、ノウハウを生かした解決策を提供することを目指した「電波のトータルソリューションカンパニー」。
新横浜にある「図研 Technical Lab.」では、測定スタッフとしてお客様をサポート。

会社HP : http://www.mwf.co.jp/


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